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住友電工がBi系超伝導体を使用したコンパクトな超伝導マグネットシステムを発売

先日、住友電工からメールが配信され、ビスマス系超伝導体を用いたコンパクトなマグネットが発売されるとの情報を得ました。
http://www.sei.co.jp/super/magnet_coil/system.html#6t

今回当社が開発した冷凍機冷却型超電導マグネットシステム本体は、質量を100kgと従来システム本体の1/4まで軽量化し、寸法も奥行0.8m、幅0.3m、高さ0.3m と、同様に1/5まで小型化することに成功しました。また本システムは、永久磁石の検査工程中の磁化特性測定等への適用を視野に入れて開発したシステムで、B-Hカーブトレーサ、振動試料型磁力計(VSM)、ハードディスク検査装置等に加えて、磁場中熱処理炉等の製造装置への適用も可能です。

 

質量が100kGで最大磁場が6Tというコンパクトさも素晴らしいですが、特筆すべきは、30秒で6Tまで上げられることですね。

通常の超伝導コイルはNbTiを使っており、磁場の均一性を高めるなどの理由により自己インダクタンスが大きく、磁場スイープには時間がかかっていました。

高温超伝導体を使うことで、液体ヘリウムがなくても強磁場が出せるというのは、新興諸国の研究や産業の発展に大きな力になることと思います。

 

Nature Physicsにヘリウム不足の記事

Nature Physicsにヘリウム不足に関する記事を見つけました。
The impact of helium shortages on basic research
Nature Physics 10, 467–470  doi:10.1038/nphys3018

研究者向けの非常に詳細な情報があって、これを読んだだけで、情勢がわかる記事だと思います。
カタールの2014年世界シェアが14%にもなると予想されているのは、驚きです。

私が登場した3月の日経新聞の記事「ヘリウム危機 超えゆく技術」に関しては、いくつかのブログが言及しています。中には、すこしエキセントリックな主張のものまでありましたが・・。また、Nikkei Asian Reviewというサイトに海外向けの要約記事がありました。
No one taking helium shortage lightly

こちらには、私の写真を採用していただいております。(卒業生が見つけたというのは、これだったのか???)

BOMEM DA3

遠赤外分光器Bomem DA3(カナダ製)を廃棄することになりました。

高温超伝導発見直後の1989年ごろに購入した装置で、きわめて高分解能(0.3 GHz)のFTIR装置です。

国内にもまだ使用している研究室がありそうなので、パーツとして役立てないかと思い、取り扱いの業者に連絡したところ、引き取りたいとの連絡を頂きました。

遠赤外の天文関係の研究室とか、テラヘルツ光源を開発している研究室ではまだ使用されているそうです。

我々も、テラヘルツの研究を始めたときに使用することを検討しましたが、光源の水銀ランプが頭上の高い位置にあるので、クライオスタットを使う高温超伝導テラヘルツ光源への使用は断念しました。。

スキャンチューブを含めて、ほとんどのパーツを引き取って頂けるようで、ちょっといい事をした気分です。

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作業終了後の筐体。がらんどうです。
IMG_1341[1]スキャンチューブ

 

Alexander Grib教授・川山准教授来訪

大阪大学のAlexander Grib客員教授と川山准教授にお越しいただき、ジョセフソン接合列の同期現象に関する理論研究についてレクチャーしていただきました。本研究室の最近の実験結果も紹介し、非常に有意義な議論をさせていただきました。

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(文責 辻本)

辻本氏が第36回応用物理学会講演奨励賞を受賞

辻本学博士研究員が第36回応用物理学会講演奨励賞を受賞しました。この賞は、2014年応用物理学会春季学術講演会において、応用物理学の視点から極めて価値のある一般講演論文を発表した若手会員に授与されるものです。

受賞を記念した受賞記念講演が2014年応用物理学会秋季学術講演会で行われます。皆様のお越しをお待ちしております。

【参考】
第36回(2014年春季)応用物理学会講演奨励賞受賞者紹介

(文責 辻本)

THz-Plasma2014論文受付開始

今年(2014年)11月30日から12月3日まで京都大学で本研究室主催のもと開催される国際会議
9th international symposium on intrinsic Josephson junction and THz oscillation in high-Tc superconductors (THz-Plasma2014)の論文投稿の受付を開始いたしました。

ウェブサイトはこちらです。

本会議の主なトピックは、以下の通りです。

  • 高温超伝導体におけるテラヘルツ発振
  • 高温超伝導体における固有ジョセフソン効果
  • ジョセフソン接合における位相ダイナミクス
  • 超伝導・強磁性ヘテロ接合
  • 超伝導メタマテリアル
  • 超伝導ナノ構造デバイス
  • 異方的超伝導体における磁束状態

論文の投稿を8月22日まで受け付けております。
ポスターセッションも予定しておりますので、数多くの投稿をお待ちしております。

第3回酸化物セミナーに参加

京都大学桂キャンパスで開催された「第3回酸化物セミナー」において、本研究室D1の野村が、「固有ジョセフソン接合内のCuO2層の違いによる相互作用の影響」という題目で講演を行いました。

本セミナーは工学研究科から藤田静雄研究室、田中勝久研究室、人間環境学研究科から田部勢津久研究室との合同セミナーとして、約半年に1度のペースで開催しています。今回は新たに、工学研究科の陰山洋研究室が加わりました。今後も本学における酸化物研究のサロンとして発展に努めてゆきます。

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新しい超伝導単結晶膜の育成についての研究成果をPhysical Review誌に発表

小森祥央氏(D2)らが超伝導体PbSr2CaxY1-xCu2O7+δの単結晶試料を世界で初めて育成することに成功し、置換効果、コヒーレンス長や異方性など超伝導の基礎物性について報告した論文がPhysical Review B誌より発表されました。

Epitaxial growth and superconducting anisotropy of PbSr2CaxY1-xCu2O7+δ thin films

Phys. Rev. B 89, 174509 – Published 13 May 2014
S. Komori, R. Inaba, K. Kaneko, S. Fujita, I. Kakeya, and M. Suzuki

ABSTRACT

Thin films of single-crystal Pb1yBiySr2Y1xCaxCu2O7+δ (PbBi1212) were grown on SrTiO3 (100) substrates by a two-step growth technique in which an amorphous film is annealed at 970 C in a closed ceramic container prepared using the same material as the film. We find that PbBi1212 exhibits superconductivity when the Ca concentration xexceeds 0.3. The effective number of holes per Cu atom neff is well described as neff=0.34x. The highest onset temperature for the superconducting transition attained in the present study is 65 K. The resistivity measurement in a magnetic field reveals that the coherence lengths of Pb1212 (y=0) are approximately 25 and 2.7 Å along the abplane and the c axis, respectively.

DOI: http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.89.174509