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新しい論文がSuperconductor Science and Technology誌に掲載

固有ジョセフソン接合におけるスイッチングダイナミクスに関する論文がSuperconductor Science and Technology誌に掲載されました。

Y. Nomura, R. Okamoto, and I. Kakeya,
“Negative correlation between enhanced crossover temperature and fluctuation-free critical current of the second switch in Bi2Sr2CaCu2O${}_{8+\delta }$ intrinsic Josephson junction”,
Supercond. Sci. Technol., 30 105001(2017).

DOI: 10.1088/1361-6668/aa7b23

Abstract

We have investigated the switching dynamics of the first and second switches in intrinsic Josephson junctions (IJJs) of Bi2Sr2CaCu2O${}_{8+\delta }$ with different maximum Josephson current density J c to reveal the doping evolution of interaction between IJJs. For the second switch, the crossover temperature between temperature-independent switching similar to quantum tunneling and thermally activated switching ${T}_{2\mathrm{nd}}^{* }$ is remarkably higher than that for the first switch. Moreover, ${T}_{2\mathrm{nd}}^{* }$ slightly decreases with increasing J c, which violates the conventional relation between the crossover temperature and the critical current density. These features can be explained not by a change in the Josephson coupling energy but by a change in the charging energy of the Josephson junction. We argue that the capacitive coupling model explains the increase in the fluctuation in the quantum regime of the second switch and the anti-correlation between ${T}_{2\mathrm{nd}}^{* }$ and J c. Furthermore, inductive coupling does not contribute to these peculiar phenomena in the switching dynamics of stacked IJJs.

パリ高等師範学校のLPAセミナーで講演

7月17日の午後、客員教授として在籍しているパリ高等師範学校(Ecole Normale Surperieure)のLaboratoire perre aigrainでのセミナー講演の機会をいただきました。

Emission of coherent terahertz electromagnetic wave from intrinsic Josephson junctions of high-temperature superconductors: progress and perspective
と題した講演で、高温超伝導体を基盤としたテラヘルツ光源にかんするこれまでの進展と将来の展望について1時間余りの講演をさせていただきました。

講演前の緊張する時間。

夏休みが始まったタイミングにもかかわらず、多くの方が聴講に来られて、非常に多くの質問をいただきました。

LPAにおいてテラヘルツ光源は半導体による量子カスケードレーザーが良く研究されていましたが、私たちが発見した高温超伝導テラヘルツ光源は量子カスケードレーザーを補完する連続テラヘルツ光源だということを理解していただけたように感じました。

ジョセフソン接合についての説明。聴衆の方を見てしゃべるべきですね。

パリ若手物理学者の会で講演

7月9日、パリ若手物理学者の会で講演する機会をいただき、
「超伝導現象にみられる自然の普遍性ーHiggs機構から蛍の明滅までー」
という大げさなタイトルで、研究者になったいきさつから超伝導の基礎的概念までお話しさせていただきました。

「パリ若手物理学者の会(若物会)」は、パリ及びその近郊に滞在して広い意味での物理学に関係する研究者の集まりで、おおむね月に1度セミナーを開催してお互いの研究について議論をし、海外生活に関する情報を交換しています。

参加者の背景は様々で、素粒子理論・宇宙論のポスドクや惑星科学の博士課程学生、私のような物性物理の教員も当然いますが、医師を含めた生物の研究者も参加しています。

パリ国際大学都市日本館の大ホールで講演することになり、なかなか素敵な雰囲気です。

そういった広い背景を持つ聴講者なので、なかなか話の出来ない、大学での講義、アウトリーチ活動、研究プロジェクト獲得の苦労話もさせてもらいました。

磁気浮上をはじめとする超伝導現象についての紹介をしましたが、これが意外にも知られておらず、驚きをもって聞いていただきました。まだまだ超伝導について布教の余地があるようで、志を新たにしました。

皆さんから様々なご質問をいただき、大変充実した時間になりました

野村義樹氏博士論文公聴会

6月16日(金)京都大学桂キャンパスにおいて、2017年3月博士課程指導認定退学の野村義樹氏の博士論文公聴会が執り行われ、3名の審査委員の審議の結果、博士論文が受理されました。

博士論文題目は
「Bi系高温超伝導体固有ジョセフソン接合における接合間相互作用下の巨視的量子トンネル現象に関する研究」
であり、論文では、複数のビスマス系高温超伝導体を用いて、巨視的量子トンネル現象の系統的に記述するためのモデルを提案しています。

野村氏には7月31日付で博士(工学)が授与され、授与式は9月30日に行われる予定です。

Ecole Polytechniqueで講演

6月12日、パリ郊外、PalaisauにあるEcole PolytechniqueのYannis Laplace博士に招かれて、セミナーを行いました。

パリの住まいであるCite Internationale UniversaireからRERという通勤鉄道に20分ほど乗った場所にあるLozereという小さな駅から階段を含む山道を登って着いた先は、大学のキャンパスながら馬が放牧されているという素晴らしい環境。

Yannisと会って、大学を案内してもらいました。彼の説明ではこの学校はフランス軍のエリートを育成する学校で、学部は全寮制となっている。入学試験には数学や物理だけでなく、運動もあり、なかなかスパルタンな学生がそろっているとのこと。そのため、制服姿の兵士(時に銃を持っている)もうろうろしているという、さらに日本ではありえない状況が見られます。馬が放牧されている長閑さとのコントラストが印象的です。

さて、セミナーでは固有ジョセフソン接合からのテラヘルツ発振を中心に私たちの研究を紹介しました。

45分の予定のところ、質疑応答が多く、90分も使ってしまいました。月曜日の午前中だったせいか、言葉が出てこなくて苦労しましたが、皆さん辛抱強く聞いてくださいました。

その後、Yannisと共同研究の話をして、9月までにもう一度会うことを約束して別れました。

また、私たちの研究分野で長らく活躍されているMarcinとKeesにも会うことができて、素晴らしい1日になりました。

Cambridge大学を訪問・議論

ロンドン訪問に引き続き、ケンブリッジ大学を訪問しました。

ロンドンから郊外電車で1時間、ケンブリッジに到着します。

昨年まで集積研に在籍していた小森氏と待ち合わせ、博士研究員として勤務する物質科学科を見学しました。

ケンブリッジ大学には2009年に一度訪問したことはあるのですが、じっくり研究室を見学させてもらうのは初めてでした。ひとりに1台と言っても過言ではないのスパッタ装置やX線回折装置など、実験装置の充実ぶりにはとにかく驚いた。ここで結果出せないとダメという小森君の決意を聞きながら、ここまでそろっている研究者に勝つためにはどうしたらいいのか、考えながら見学していました。

論文作成のための濃密な議論がほぼ終わった日曜日、筑波大出身のKaveh氏とも合流して、物理学者のあこがれCavendish研究所も見学できました。

滞在中のケンブリッジは、30度を超えるという、真夏でもあまり経験しない暑さ。

ケム川のボートや日光浴を楽しむ人たち、老若男女の観光客でケンブリッジの町はにぎわっていました。

ケンブリッジはいわゆる学園都市なのですが、つくばなど日本の学園都市にもこのように観光客が来るようになれば、日本の科学もより豊かになると思いました。

University of College Londonで講演

イギリス・ロンドンにあるUniversity of College LondonのPaul Warburton 教授を訪問し、講演の機会を頂きました。

ロンドンへは、パリからユーロスターで2時間半。大阪から東京に行く時間ですが、パリの北駅ではフランスの出国とイギリスの入国手続きもありました。数日前にマンチェスターで起きたテロのせいか、入国審査では滞在期間や行先など事細かに聞かれ、出発数分前、ようやく列車に乗ることができました。

ロンドンのセントパンクラス駅に到着後のユーロスター

翌日11時から始まった講演には、多数の聴講者に参加頂き、活発な質疑応答がなされて、予定の1時間半を超えて、2時間におよびました。

講演後は、Warburton研究室の若手と議論を重ねました。京都の国際会議に来てくれたPhDの学生や、2009年に京大の学生と訪問した時から在籍しているポスドクと固有ジョセフソン接合や位相スリップの議論を行いました。

夕方はラフボロー大学物理学科が主催するSir Nevill Mott Lectureに出席するため、East Londonの2012年ロンドンオリンピック跡地にあるラフボロー大学ロンドンキャンパスに移動しました。

モットレクチャーのサイネージ。ロンドンの都心でやっているようなデザインですが、ロンドンの人に言わせると、East Londonは違う街だそうです。

トポロジカル物質に関する光電子分光について、Princeton大学のZahid Hasan教授による素晴らしい講演が聞けました。

その後のカクテルパーティやディナーでは、幸運にも講演者と話すことができて、ホストかつ旧友であるLoughbrough大学のSergeyやMaratと物理学談義に花を咲かせました。

 

日本物理学会(大阪大学)で2件の発表

3月17日から20日の間、大阪大学豊中キャンパスで開催された日本物理学会第72回年次大会において、2件の口頭発表を行いました。

講演番号 登録番号 タイトル 著者 所属 領域
18aD32-5 1378
CuO23層系の固有ジョセフソン接合における巨視的量子トンネル効果
野村義樹, 岡本陸, 足立伸太郎A, 渡辺孝夫A, 掛谷一弘
京大院工, 弘前大理工A
領域6
20aL42-6 1730
オーバードープBi-2212の正のc軸磁気伝導度の起源
寺本祐基, 臼井友洋, 掛谷一弘A, 近藤晃弘B, 足立伸太郎B, 金道浩一B, 木村尚次郎C, 渡辺孝夫
弘前大理工, 京大院工A, 東大物性研B, 東北大金研C
領域8

D3の野村による発表には、数多くの質問やコメントが寄せられました。

集積研の拠点がパリにも:科研費「国際共同研究加速基金」プロジェクト本格スタート

平成27年度に採択された研究プロジェクト
科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)「高温超伝導テラヘルツ光源の時間領域コヒーレンス測定と元素置換による高強度化」
の実施のために、3月2日、掛谷准教授がフランスに渡航しました。

フランスでは、パリにある高等師範学校École Normale Supérieure)の研究者と共同研究を進めていきます。

掛谷は9月上旬までパリに滞在します。その間、集積研は京都とパリの2拠点で活動を進めます。

掛谷はパリ滞在中、ホスト研究者だけでなく、欧州各地の研究者との共同研究を進めていきます。また、他のメンバーは京都大学はじめ国内外で研究を進め、メールやインターネット電話で定期的に連絡を取って、9月以降に京都大学で再合流したときの齟齬をなくします。