高温超伝導テラヘルツ光源の同期発振現象に関する筑波大学、パリ高等師範学校(ENS)との共同研究の成果がPhysical Review Applied誌のLetterセクションに掲載され、Editors’ Suggestionとして注目論文に採用されました。
Mutually Synchronized Macroscopic Josephson Oscillations Demonstrated by Polarization Analysis of Superconducting Terahertz Emitters
M. Tsujimoto, S. Fujita, G. Kuwano, K. Maeda, A. Elarabi, J. Hawecker, J. Tignon, J. Mangeney, S.S. Dhillon, and I. Kakeya
Phys. Rev. Applied 13, 051001 – Published 13 May 2020
本論文では、高温超伝導体単結晶上に作製したテラヘルツ光源から放射される電磁波の偏光(電磁波の偏り)について、素子構造のひとつから放射される場合とふたつから同時に放射される場合を比較して議論し、二つの素子構造におけるジョセフソン効果による電流振動が位相同期して強度の強い放射を実現していることを明示しています。
本研究の成果により、以下の波及効果が期待されます。
- 同期発振現象の解明による高強度テラヘルツ光源の実現
- テラヘルツ量子通信光源への応用の可能性
本研究は、当研究室卒業生である藤田秀眞氏の修士論文(2019年2月提出)での実験結果に加え、筑波大辻本グループによる精密測定と解析を得て、辻本博士、掛谷准教授、Dhillion博士 (ENS)で論文を執筆しました。本研究の技術的な肝であるテラヘルツ光学素子の検証がENSグループとの共同研究です。
Physical Review Applied誌のLetterセクションはPhysical Review Lettersと同等の観点で査読されることから狭き門でしたが、幸いにも受理され、さらにはEditors’ Suggestionにも採用されました。今後は本成果を発展させる研究を進めていきます。
筑波大学と京都大学から共同プレスリリースが出されておりますので、そちらもご覧ください。