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ノーベル賞受賞アブリコソフ博士の記念シンポジウムで招待講演

2018年6月25日から28日までの間、2003年ノーベル物理学賞を受賞したアレクセイアブリコソフ博士(2016年逝去)を顕著する国際会議がロシア、モスクワ近郊のチェルノゴフカにあるランダウ研究所で行われ、掛谷が招待講演を行いました。

アブリコソフ博士は、1950年代から1991年までランダウ研究所を拠点に超伝導の磁場中での振る舞いや磁性と超伝導が共存する物質についての研究をすすめてきました。1991年に米国のアルゴンヌ国立研究所に移り、2003年にノーベル物理学賞を受賞しました。

会では、アブリコソフ博士の学術的な業績だけでなく、ユーモアに満ちた人柄を称える声が多く聞かれ、非常に有意義な集まりになりました。

昨今の米露間の関係が影響し、米国の国立研究所からの講演が取り消されたという残念な点がありましたが、ロシアの学術文化に触れることができ、今後の研究の発展につながる会合でした。

ランダウの彫像。自動車事故が原因で亡くなる5年前、50歳のころだそうです。

政治的事情で出席ができなかった研究者が、Skypeで講演。

日本物理学会(大阪大学)で2件の発表

3月17日から20日の間、大阪大学豊中キャンパスで開催された日本物理学会第72回年次大会において、2件の口頭発表を行いました。

講演番号 登録番号 タイトル 著者 所属 領域
18aD32-5 1378
CuO23層系の固有ジョセフソン接合における巨視的量子トンネル効果
野村義樹, 岡本陸, 足立伸太郎A, 渡辺孝夫A, 掛谷一弘
京大院工, 弘前大理工A
領域6
20aL42-6 1730
オーバードープBi-2212の正のc軸磁気伝導度の起源
寺本祐基, 臼井友洋, 掛谷一弘A, 近藤晃弘B, 足立伸太郎B, 金道浩一B, 木村尚次郎C, 渡辺孝夫
弘前大理工, 京大院工A, 東大物性研B, 東北大金研C
領域8

D3の野村による発表には、数多くの質問やコメントが寄せられました。

ワークショップ「ナノ構造超伝導体中の渦糸物理」で2件の発表

大阪府立大学で行われたワークショップ
ナノ構造超伝導体中の渦糸物理
において、掛谷とアセムが口頭発表を行いました。

掛谷一弘、野村義樹、岡本陸、足立伸太朗、渡辺孝夫
「Bi2223における固有ジョセフソン特性から見たCuO2多重層内部の不均一超伝導」

Asem Elarabi, Y. Yoshioka, M. Tsujimoto, T. Doi, and I. Kakeya
“Generation of Circularly-Polarized Terahertz Emission form a High-Tc BSCCO Mesa”

 

Phys. Rev. Bから論文の発表

弘前大・東大・東北大との共同研究の成果に関する論文が固体物理の専門誌Phys. Rev. Bに掲載されました。

Origin of positive out-of-plane magnetoconductivity in overdoped Bi1.6Pb0.4Sr2CaCu1.96Fe0.04O8+\delta
Takao Watanabe, Tomohiro Usui, Shintaro Adachi, Yuki Teramoto, Mihaly M. Dobroka, Itsuhiro Kakeya, Akihiro Kondo, Koichi Kindo, and Shojiro Kimura
Phys. Rev. B 94, 174517 – Published 28 November 2016

磁性不純物であるFeをCuに置換して超伝導転移温度を低下させることで、東京大学物性研究所および東北大学金属材料研究所の精密測定可能な磁場で超伝導を破壊することが可能となり、超伝導揺らぎと擬ギャップを分離することに成功しました。

Plasma+2016で4件発表、ポスター1等賞受賞

10月10日から12日まで中華人民共和国、南京大学で行われた国際会議、10th International Symposium on Intrinsic Josephson Effects and Plasma Oscillations in High-Tc Superconductors (Plasma+ 2016)で招待講演1件(掛谷)、口頭発表1件(野村)、ポスター発表2件(アセム、岡本)を行いました。

学会の会場となった南京大学新キャンパス内のSchool of Electronic Scinece and Engineeringの建物
学会の会場となった南京大学新キャンパス内のSchool of Electronic Scinece and Engineeringの建物

D2のアセム君は、見事ポスター賞、それも45件中ただ1件のFirst prizeを受賞しました。おめでとうございます。

Asem Elarabi (D2) recieved the best poster award (1st place)

ポスター賞授賞式
会議の締めくくりのポスター賞授賞式

この学会は、集積機能工学研究室が主催して2014年11月に京都大学百周年時計台記念館で実施したTHz-plasma 2014に続く学会であり、世界各国から100人余りの参加者が得られました。

南京大学を初めとする中国本土の大学の研究者による招待講演もかなり多く、研究のレベルが速いスピードで向上しているのが肌で感じられました。

さらに、南京大学の学生によるポスター発表も数多く出されており、研究レベルは日本の国内学会における発表に相当するものだと感じました。議論に使った英語のレベルは、苦手そうな人も私がドクターの学生だった頃よりもわかりやすい英語を喋っているような印象でした。日本の学生、頑張れ!

キャンパスが美しいのにまず驚くのですが、研究室を見学させていただき、さらに驚きました。
最新鋭の設備で、居心地の良い空間。これは、何より羨ましい。

中国は、次代を担う若者に投資しています。翻って日本はどうでしょうか??

野村(D3)の口頭講演
口頭講演する野村(D3)
岡本(M1)のポスター発表。頑張りました。
岡本(M1)はポスター発表。頑張りました。
バンケットでの集積研メンバー。発表が終わっていない私(掛谷)が一番はしゃいでる?
バンケットでの集積研メンバー。発表が終わっていない私(掛谷)が一番はしゃいでる?
研究室OBの辻本氏(現筑波大)とドイツの大学院生・ポスドク
研究室OBの辻本氏(現筑波大)とドイツ・チュービンゲン大学の大学院生・ポスドク

 

日本物理学会(金沢)で2件の口頭発表

石川県金沢市の金沢大学で9月13日から16日まで開催された
日本物理学会2016年秋季大会でD3野村とM1岡本が口頭発表を行いました。

講演番号 登録番号 タイトル 著者 所属 領域
13aAC-6 2138
固有ジョセフソン接合における電荷結合のキャリア濃度依存性
野村義樹, 岡本陸, 掛谷一弘
京大院工
領域6
14pJC-11 2264
鉄ドープBi2212における固有トンネル分光
岡本陸, 野村義樹, 掛谷一弘, 臼井友洋A, 足立伸太郎A, 寺本祐基A, 渡辺孝夫A
京大院工, 弘前大理工A
領域8

スペインで行われた国際学会で口頭講演

スペインマドリード郊外の世界遺産の街、エルエスコリアルで5月10日から15日まで行われた国際学会International Workshop on Vortex Matter in Superconductors VORTEX2015で掛谷が”Coupled macroscopic quantum tunneling in intrinsic Josephson junctions in BSCCOs due to dynamical breaking of the charge neutrality of CuO2 layers “と言う題目で口頭発表を行いました。

本学会は、組織委員から推薦された研究者だけが参加できる会議で、100人程度の参加者の間で、高いレベルの議論が繰り広げられました。

次回のVORTEXワークショップは2017年春にブラジルで開催される事になりました。

会場となったマリアクリスティーナセンターの中庭
会場となったマリアクリスティーナ王立センターの中庭
エスコリアル修道院へのエクスカーション後
エスコリアル修道院へのエクスカーション後

2015 Joint UK-Japan Workshop on Physics and Applications of Superconductivityで1件の発表およびUCL訪問

4月12日~15日にイギリス・ケンブリッジ大学・キングスカレッジで開催されたワークショップ (2015 Joint UK-Japan Workshop on Physics and Applications of Superconductivity) にD3小森が参加し、口頭発表を行いました。また17日に、ワークショップでお会いしたロンドン大学 (University College London) の方の研究室を訪問させていただき、見学および議論をさせて頂きました。ケンブリッジは良い所でした。UCLでは充実した研究設備に驚かされました。

ケンブリッジ大学のケム川にて (撮影:雨宮先生)
ケンブリッジ大学のケム川にて (撮影:雨宮先生)

(文責:小森)

感謝:国際学会が無事終了しました

11月30日から12月3日まで実施した国際学会THz-plasma2014の主催を無事終えることができました。各国からお越し頂いた皆さん、奴隷のように働いてくれた研究室の学生さん、アルバイトに参加してくださった京大の学生さんに感謝します。また、支援くださった財団、学会、企業の皆様に感謝申し上げます。

IMG_3049

この集合写真はエクスカーションの前で、ちょっと寒かったですが天候も良く、皆さん最高の笑顔です。

新しい超伝導単結晶膜の育成についての研究成果をPhysical Review誌に発表

小森祥央氏(D2)らが超伝導体PbSr2CaxY1-xCu2O7+δの単結晶試料を世界で初めて育成することに成功し、置換効果、コヒーレンス長や異方性など超伝導の基礎物性について報告した論文がPhysical Review B誌より発表されました。

Epitaxial growth and superconducting anisotropy of PbSr2CaxY1-xCu2O7+δ thin films

Phys. Rev. B 89, 174509 – Published 13 May 2014
S. Komori, R. Inaba, K. Kaneko, S. Fujita, I. Kakeya, and M. Suzuki

ABSTRACT

Thin films of single-crystal Pb1yBiySr2Y1xCaxCu2O7+δ (PbBi1212) were grown on SrTiO3 (100) substrates by a two-step growth technique in which an amorphous film is annealed at 970 C in a closed ceramic container prepared using the same material as the film. We find that PbBi1212 exhibits superconductivity when the Ca concentration xexceeds 0.3. The effective number of holes per Cu atom neff is well described as neff=0.34x. The highest onset temperature for the superconducting transition attained in the present study is 65 K. The resistivity measurement in a magnetic field reveals that the coherence lengths of Pb1212 (y=0) are approximately 25 and 2.7 Å along the abplane and the c axis, respectively.

DOI: http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.89.174509