「テラヘルツ」タグアーカイブ

論文出版:超伝導デバイスからのテラヘルツ波放射同期解析

高温超伝導体Bi2212単結晶から作成されたテラヘルツ放射デバイスについての論文がPhysical Review Applied誌から発表されました。本論文は、現M2の小林亮太、元修士課程院生の巴山顕が中心となって進めた実験の成果を産業技術総合研究所の辻本学博士と共にまとめたものです。

本論文では、放射テラヘルツ波の偏光測定結果について線形代数を用いた解析を行うことにより、同期する二つの素子からの放射電磁波の位相差が周波数に応じて変わっていくことを示しています。本論文で得られた成果をもとに系統的に調査を進めていくことにより、Beyond 5Gに求められる超高速通信のキャリア光源として有用なテラヘルツ電磁波を放射する超伝導デバイスが実現可能になります。

Spontaneous Frequency Shift and Phase Delay of Coupled Terahertz Radiation Mediated by the Josephson Plasmon in a Cuprate Superconductor

Ryota Kobayashi, Ken Hayama, Shuma Fujita, Manabu Tsujimoto, and Itsuhiro Kakeya
Phys. Rev. Applied 17, 054043 – Published 25 May 2022

Plasma2019で招待講演

2019年1月18日から21日までアメリカ・フロリダ州のセントラルフロリダ大で行われたPlasma2019 workshopで、掛谷が招待講演を行いました。

講演題目は”Circularly polarized terahertz-wave emission from monolithic Bi2212 devices“、高温超伝導デバイスから放射されるテラヘルツ電磁波を円偏光に制御する方法とそこからデバイス表面における電流分布の議論について報告いたしました。講演後、多くの参加者から質問があり、とくにホットスポットと偏光の関係についての議論が盛り上がりました。

また、学会では最近発見された超高圧下の室温超伝導のセッションがあり、多様な興味深い議論が繰り広げられました。

バンケットは主催者のRichard Klemm先生の自宅で行われ、50人もの参加者を収容するリビングの広さに驚きつつ、世界中から集まった研究者と楽しい時間を過ごせました。

次回の学会は、東ヨーロッパのモルドバ共和国の首都キシナウで2021年5月に開かれることに決まりました。

室温超伝導の発見者、ジョージワシントン大学のHemley教授を紹介するセッションの座長の門脇和男筑波大学名誉教授

オーランド郊外にあるKlemm先生の自宅でのバンケット

円偏光テラヘルツ放射に関する研究成果がApplied Physics Lettersで論文出版

Appl. Phys. Lett. 113, 052601 (2018); https://doi.org/10.1063/1.5040159

Phys. Rev. Applied誌に論文発表

円偏光テラヘルツ波の発振に関する論文がPhys. Rev. Applied誌から12月29日にオンライン公開されました。

Monolithic Superconducting Emitter of Tunable Circularly Polarized Terahertz Radiation

A. Elarabi, Y. Yoshioka, M. Tsujimoto, and I. Kakeya
Phys. Rev. Applied 8, 064034 – Published 29 December 2017

本論文では、高温超伝導体メサ構造から円偏波のテラヘルツ光を放射した成果をまとめています。

特定の方向に偏りのない円偏光は、映画館のRealDと呼ばれる3D映像にも応用されています。

円偏波のテラヘルツ光を移動体間通信に応用することにより、超高密度通信が可能になります。

これまで、円偏波のテラヘルツ光を出すためには、光源を出た電磁波を光学素子を通すことで、円偏光にしていました。本研究では、モノリシック(一枚板)素子から円偏波テラヘルツ光を放射させることに成功し、得られた円偏光度は、既存のモノリシック素子の中で最高の値を示しました。

京都大学のトップページ「研究成果」にも掲載されています。

1月4日付京大ウェブサイトトップのスクリーンショット。トピックスの先頭に私たちの研究発表が・・・。

記者説明 「超高速移動体通信を可能にするテラヘルツ光源の開発―モノリシック高温超伝導デバイスから円偏光電磁波の放射に成功―」

研究成果発表に関する記者説明
「超高速移動体通信を可能にするテラヘルツ光源の開発―モノリシック高温超伝導デバイスから円偏光電磁波の放射に成功―」
を京都大学時計台百周年記念館の中にある京都大学記者クラブで行いました。

記者説明はパワーポイントを用いた15分の説明の後、各記者からの質問に答える形で行われました。
論文の公開、京大からの発表は1月4日になります。
(1月7日追記:京大ウェブサイト記事へのリンク

研究成果は、超伝導体から作った1枚のデバイスから、特定の方向の偏りがない円偏光電磁波を放射させたことです。
円偏光電磁波は、GPSやETCに用いられていて、この技術を、高密度の情報通信が可能となるように、テラヘルツの周波数領域で実現しました。

既存のテラヘルツ光源が、発振と放射が別々の機構で動いていることと対照的に、超伝導テラヘルツ光源では、発振と放射が一つの形状で決まっていて、そのために自発的に高い円偏光度のテラヘルツ波が放射される点が非常に面白い点です。

 

記者レクに臨む掛谷(左)とアセム(右)

ワークショップ「ナノ構造超伝導体中の渦糸物理」で2件の発表

大阪府立大学で行われたワークショップ
ナノ構造超伝導体中の渦糸物理
において、掛谷とアセムが口頭発表を行いました。

掛谷一弘、野村義樹、岡本陸、足立伸太朗、渡辺孝夫
「Bi2223における固有ジョセフソン特性から見たCuO2多重層内部の不均一超伝導」

Asem Elarabi, Y. Yoshioka, M. Tsujimoto, T. Doi, and I. Kakeya
“Generation of Circularly-Polarized Terahertz Emission form a High-Tc BSCCO Mesa”

 

国際会議International Workshop on Superconductivity and Related Functional Materials 2016で招待講演

茨城県つくば市にある物質材料研究機構(NIMS)で行われた国際会議
International Workshop on Superconductivity and Related Functional Materials 2016 (IWSRFM2016)
において、掛谷が
Generation of circularly-polarized terahertz waves from Bi2212 intrinsic Josephson junctions
という題目で招待講演を行いました