「ニュース・最新情報」カテゴリーアーカイブ

アセムエルアラビ氏博士論文公聴会

7月27日15:30より集積機能工学研究室特定研究員のアセムエルアラビ氏の博士論文公聴会が桂キャンパス電気系専攻大会議室で行われました。

博士論文の題目は「Polarization behavior of high-T superconducting terahertz emitters(高温超伝導体テラヘルツ光源の偏光特性に関する研究)」

審査には見事に合格し、終了後は河原町のモロッコ料理「バラッカ」でアセムさん主催で研究室メンバーとその仲間たちへの謝恩会が行われ、楽しいひと時を過ごしました。

皆さん、良い表情です

木津川市立木津小学校に出前授業

7月13日、京都府教育委員会の実施する「子どもの知的好奇心をくすぐる出前授業」で、木津川市立木津小学校を掛谷、岡崎、中村の3名で訪問し、6年生90名余りに電気と温度について知ってもらいました。

当日は、非常に暑い日で、熱中症の心配があったので、前半のお話しを図書室、後半の実験を各教室で行いました。

液体窒素で冷やされた超伝導体の上に浮いた磁石を見た時の子どもたちの驚いた様子が印象的でした。

また、10円玉と1円玉で電池を作ったときには、明るく光るように工夫する様子が頼もしかったです。

このような経験を通じて、新しいことに挑戦していってほしいと思います。

後日追記:
木津小学校のページに紹介されれました。こちら

宇宙飛行中の「眼」の異常に関する論文を出版

米国医師会発行のJAMA Ophtalmology誌(インパクトファクター6.7)に宇宙飛行中の視神経などの異常に関する論文が掲載され、京都大学からプレスリリースを行いました。

Research Letter

Association of Space Flight With Problems of the Brain and Eyes

Abstract Full Text
JAMA Ophthalmol. Published online July 5, 2018. doi:10.1001/jamaophthalmol.2018.2635

This study explores the association of cerebrospinal fluid pressure and brain upward shift with space flight–associated neuroocular syndrome in postflight astronauts.

京都大学プレスリリース「宇宙飛行による眼病発症のメカニズムを解明しました」

集積研で中心となっている研究テーマとはあまり関係ありませんが、視神経および脳の構造を熟知した研究者と物理学のモデル化手法が融合して初めて得られた成果です。

モスクワのロシア科学アカデミーを訪問

チェルノゴロフカでのアブリコソフ記念シンポジウムの後、モスクワ中心部、赤の広場すぐ横にあるロシア科学アカデミー
Kotelnikov Institute of Radioengineering(コテルニコフ高周波工学研究所)
のValery Koshelets教授を訪問しました。

Koshelets教授は超伝導ミキサーを用いたマイクロ波技術で世界を長年リードしており、15年来訪問したいと考えていた研究室でした。

研究室は、なんとモスクワ中心部赤の広場のすぐ横。日本だと、皇居の真横に研究室がある感じです。サッカーワールドカップの観戦客で混雑する赤の広場を抜けて、世界チェーンの高級ホテルの横の路地を入っていったところにある赤いレンガ造りの建物が目的の研究所です。

入り口から入ってKoshelets先生に電話をして歓迎を受けます。研究室でお茶をいただきながら、雑談、そして最近の研究の進展を教えていただく。

そしてラボツアー、この建物は19世紀にモスクワ州立大学として建設され、モスクワ州立大学が郊外に移転したのち、ロシア科学アカデミーが使用しているとのこと。旧ソ連時代を思い出させる共産主義のプロパガンダポスターや第二次大戦の英雄を並べた掲示などもあり、貴重な経験。なんと、壁の厚さは1メートル。重厚な階段に無理やりエレベータが設置してあります。さらに、19世紀の建物の中に、クリーンルームがありスパッタ装置を拝見。
次に、高周波の測定部屋。見慣れたボロメーターのクライオスタットが多数あります。今後の共同研究について議論を交わし、研究所を後にしました。

ノーベル賞受賞アブリコソフ博士の記念シンポジウムで招待講演

2018年6月25日から28日までの間、2003年ノーベル物理学賞を受賞したアレクセイアブリコソフ博士(2016年逝去)を顕著する国際会議がロシア、モスクワ近郊のチェルノゴフカにあるランダウ研究所で行われ、掛谷が招待講演を行いました。

アブリコソフ博士は、1950年代から1991年までランダウ研究所を拠点に超伝導の磁場中での振る舞いや磁性と超伝導が共存する物質についての研究をすすめてきました。1991年に米国のアルゴンヌ国立研究所に移り、2003年にノーベル物理学賞を受賞しました。

会では、アブリコソフ博士の学術的な業績だけでなく、ユーモアに満ちた人柄を称える声が多く聞かれ、非常に有意義な集まりになりました。

昨今の米露間の関係が影響し、米国の国立研究所からの講演が取り消されたという残念な点がありましたが、ロシアの学術文化に触れることができ、今後の研究の発展につながる会合でした。

ランダウの彫像。自動車事故が原因で亡くなる5年前、50歳のころだそうです。

政治的事情で出席ができなかった研究者が、Skypeで講演。

【論文】電気二重層トランジスタによりキャリアドープに成功

イオン液体を用いた電気二重層トランジスタ構造を用いて、ペロブスカイト型超伝導体BiPbBaO3に電場によりキャリアを誘起させることに成功しました。キャリアの増加により、もともとオーバードープだった表面がよりオーバードープになり、超伝導転移温度は減少する結果になりましたが、電気二重層トランジスタによるキャリアドープが酸化物超伝導体について実現されたのは世界で初めてであり、最適な条件で実験を行うことにより、酸化物高温超伝導体が実現する最高の転移温度を実証する可能性が出てきました。

著者:小森祥央(現ケンブリッジ大学ポスドク研究員)、掛谷一弘

Carrier doping into a superconducting BaPb0.7Bi0.3O3−δepitaxial film using an electric double-layer transistor structure

S Komori1 and I Kakeya

Published 27 April 2018 • © 2018 IOP Publishing Ltd

Superconductor Science and TechnologyVolume 31Number 6

Abstract

Doping evolution of the unconventional superconducting properties in BaBiO3-based compounds has yet to be clarified in detail due to the significant change of the oxygen concentration accompanied by the chemical substitution. We suggest that the carrier concentration of an unconventional superconductor, BaPb0.7Bi0.3O3−δ , is controllable without inducing chemical or structural changes using an electric double-layer transistor structure. The critical temperature is found to decrease systematically with increasing carrier concentration.

工学研究科リレー講義「融合光・電子科学の展望」の講義実施

電子工学専攻、電気工学専攻の研究室が1回ずつ担当する「融合光・電子科学の展望」の講義を行いました。

私たちの研究室は、
「高温超伝導体固有ジョセフソン接合の物理と応用
−超伝導フェイゾニクス(Phasonics)へ」
と言う題目で、講演いたしました。

講演の内容は以下の通りです。

  1. 超伝導の基礎概念
  2. 海外での研究滞在
  3. 高温超伝導体をはじめとする新奇超伝導体
  4. 高温超伝導体における固有ジョセフソン接合
  5. 固有ジョセフソン接合からのTHz波発振
  6. 巨視的量子トンネル現象
  7. 超伝導量子コンピュータの開発状況

今回は、取りまとめの先生からの依頼もあり、2017年前半に6か月滞在したパリ高等師範学校での研究などの話をさせていただきました。

スライドのpdfはこちらです。

新人4名加入

4月になり、以下の新メンバーが4名集積研に加入しました。

前田慶一郎(修士1年)
末木 聖大(学部4回生)
中村 恵大(学部4回生)
巴山 顕(学部4回生)

4月5日に顔合わせを行い、早速歓迎会を実施しました。

今年も個性あふれるメンバーが集まりました。

ようこそ集積研へ。楽しい研究生活を送っていきましょう。

つくば-柏-本郷 超伝導かけはしプロジェクト ワークショップで招待講演

3月26日から27日の2日間、つくば市の物質・材料研究機構 千現地区で開催されたつくば-柏-本郷 超伝導かけはしプロジェクト ワークショップで掛谷准教授が招待講演を行いました。

講演題目は「銅酸化物高温超伝導体における集団的固有ジョセフソン現象」

高温超伝導の基礎物性研究者の間での活発な議論が繰り広げられました。