膳所高校に出張講義

掛谷准教授が滋賀県立膳所高等学校でサイエンスプロジェクトでの講義を行いました。

講義では、超伝導と物理学に関する話に加えて、海外で研究を経験したときに感じたことについて、イギリス海外研修を控えたサイエンスプロジェクトの高校生にお話をしました。

海外生活の楽しさと同時に、普段は耳にすることのなさそうな表現で厳しさを伝えました。

熱心に聞いて、質問もしてくださり、近い将来大学で一緒に研究したいな、と思わせる生徒さんたちでした。

Nature Photonicsに論文が掲載

高温超伝導体を用いたテラヘルツ発振デバイスで周波数変調に成功した結果がNature Photonicsに掲載されました。

Wide-band frequency modulation of a terahertz intrinsic Josephson junction emitter of a cuprate superconductor

Masashi MiyamotoRyota KobayashiGenki KuwanoManabu Tsujimoto & Itsuhiro Kakeya, Nature Photonics (2024)

併せて京都大学からプレスリリースを出しました。

高密度信号のテラヘルツ波送信を高温超伝導体で実現 ―次世代Beyond 5G/6G通信や革新的計測のための重要技術―

電子工学専攻の掛谷一弘准教授、宮本将志修士課程院生ら、産業技術総合研究所量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センターの辻本学主任研究員らの研究グループは、ビスマス系高温超伝導体を用いた超伝導テラヘルツ光源からエフエム(周波数数変調)電磁波の空間への放射を実現しました。

空間を飛ぶ電波・光を用いて大量のデータをやりとりする高速無線通信の要望が、コロナ禍を経てますます高まっています。その世界的な需要に対応するために、さらに進化した無線ネットワーク、Beyond 5G/6G技術の開発が急ピッチで進んでいます。こうした無線通信に必要な電磁波の周波数帯であるテラヘルツ帯の光源のひとつとして、超伝導テラヘルツ光源が研究されています。本研究グループは、超伝導だけが持つ性質であるジョセフソン効果を利用することで、市販の信号発生器から発生する3ギガヘルツのマイクロ波信号をテラヘルツ波に乗せて送信する、テラヘルツ波エフエム技術の開発に成功しました。実験の結果、現行の光ファイバーインターネットサービスの100分の1以下の時間で4K動画などの大きなデータを、無線で送れる能力を持つことが示されました。

本成果は、2024年1月10日に英国の国際科学学術雑誌Nature Photonics誌にオンライン公開されました。

マイナビニュースに掲載されました(2024/1/15)
京大、61GBを3.8秒で送信するFM方式での高速テラヘルツ波送信に成功

日本経済新聞に掲載されました
8K映像の即時伝送も 京大など、高周波を超電導体で送信(2024/1/18)
8K映像を即時送信する技術(2024/1/19)

卒業生の小森さんが物理学会奨励賞を受賞

研究室卒業生の小森祥央さん(現名古屋大学理学研究科助教、当研究室では2016年博士修了)が第18回(2024年)日本物理学会奨励賞(領域6)を受賞しました。おめでとうございます。

物理学会webサイトへのリンク

小森さんは、当研究室での大学院生時に銅酸化物高温超伝導体であるPb1212エピタキシャル薄膜の育成に世界で初めて成功しました。その経験を持って臨んだケンブリッジ大学での博士研究員としての研究で超伝導体薄膜と強磁性体薄膜多層構造における近接効果に関して画期的な研究成果を得ました。その成果が今回評価され、受賞に至りました。

授賞式は3月19日9:15より、日本物理学会2024年春季大会(オンライン)F1会場にて行われます。