モスクワのロシア科学アカデミーを訪問

チェルノゴロフカでのアブリコソフ記念シンポジウムの後、モスクワ中心部、赤の広場すぐ横にあるロシア科学アカデミー
Kotelnikov Institute of Radioengineering(コテルニコフ高周波工学研究所)
のValery Koshelets教授を訪問しました。

Koshelets教授は超伝導ミキサーを用いたマイクロ波技術で世界を長年リードしており、15年来訪問したいと考えていた研究室でした。

研究室は、なんとモスクワ中心部赤の広場のすぐ横。日本だと、皇居の真横に研究室がある感じです。サッカーワールドカップの観戦客で混雑する赤の広場を抜けて、世界チェーンの高級ホテルの横の路地を入っていったところにある赤いレンガ造りの建物が目的の研究所です。

入り口から入ってKoshelets先生に電話をして歓迎を受けます。研究室でお茶をいただきながら、雑談、そして最近の研究の進展を教えていただく。

そしてラボツアー、この建物は19世紀にモスクワ州立大学として建設され、モスクワ州立大学が郊外に移転したのち、ロシア科学アカデミーが使用しているとのこと。旧ソ連時代を思い出させる共産主義のプロパガンダポスターや第二次大戦の英雄を並べた掲示などもあり、貴重な経験。なんと、壁の厚さは1メートル。重厚な階段に無理やりエレベータが設置してあります。さらに、19世紀の建物の中に、クリーンルームがありスパッタ装置を拝見。
次に、高周波の測定部屋。見慣れたボロメーターのクライオスタットが多数あります。今後の共同研究について議論を交わし、研究所を後にしました。

ノーベル賞受賞アブリコソフ博士の記念シンポジウムで招待講演

2018年6月25日から28日までの間、2003年ノーベル物理学賞を受賞したアレクセイアブリコソフ博士(2016年逝去)を顕著する国際会議がロシア、モスクワ近郊のチェルノゴフカにあるランダウ研究所で行われ、掛谷が招待講演を行いました。

アブリコソフ博士は、1950年代から1991年までランダウ研究所を拠点に超伝導の磁場中での振る舞いや磁性と超伝導が共存する物質についての研究をすすめてきました。1991年に米国のアルゴンヌ国立研究所に移り、2003年にノーベル物理学賞を受賞しました。

会では、アブリコソフ博士の学術的な業績だけでなく、ユーモアに満ちた人柄を称える声が多く聞かれ、非常に有意義な集まりになりました。

昨今の米露間の関係が影響し、米国の国立研究所からの講演が取り消されたという残念な点がありましたが、ロシアの学術文化に触れることができ、今後の研究の発展につながる会合でした。

ランダウの彫像。自動車事故が原因で亡くなる5年前、50歳のころだそうです。

政治的事情で出席ができなかった研究者が、Skypeで講演。