低温工学・超電導学会関西支部 第31回低温工学基礎技術講習会で掛谷が「超伝導の基礎」の講義を担当し、大阪駅前第2ビルにある大阪市立大学文化交流センター大ホールにておよそ1時間の講義を行いました。
聴講者は、企業からの方と大学院生がほぼ半々で、講義開始時の調査では、超伝導の講義を受講したことのある方が1/3ぐらいのようで、意外に少ない印象を受けました。
講義の内容は超伝導の発見から基本的な性質の説明を行い、第2種超伝導体の話、銅酸化物超伝導体などの超伝導物質、そして渦糸状態と固有ジョセフソン接合の話を盛り込みました。
今回強調したのが、以下の2点でした
- アブリコソフによる第2種超伝導体の発見によって初めて超伝導が工学的に有用になった
- 未知の超伝導体はまだまだ埋もれている
1については、偉大なアブリコソフ先生とのプライベート写真を披露しながらお話ししました。さらに、この発見は、超伝導の応用を拡げたという意味で、高温超伝導よりも工学的な価値があると強調しました。
2については、最近Nature誌で発表された硫化水素の高圧下203K超伝導の話を挙げて「未踏の頂は数多い」とまとめました。
一方、現在応用が考えられているY123やBi2212などについては「里山の豊かな資源を人の役に立てましょう」というレトリックを用いて、我ながら秀逸!と思っちゃいました。
皆さんが超伝導に興味を持って、超伝導の物理や工学応用で活躍なさることを期待しています。