2019年1月18日から21日までアメリカ・フロリダ州のセントラルフロリダ大で行われたPlasma2019 workshopで、掛谷が招待講演を行いました。
講演題目は”Circularly polarized terahertz-wave emission from monolithic Bi2212 devices “、高温超伝導デバイスから放射されるテラヘルツ電磁波を円偏光に制御する方法とそこからデバイス表面における電流分布の議論について報告いたしました。講演後、多くの参加者から質問があり、とくにホットスポットと偏光の関係についての議論が盛り上がりました。
また、学会では最近発見された超高圧下の室温超伝導のセッションがあり、多様な興味深い議論が繰り広げられました。
バンケットは主催者のRichard Klemm先生の自宅で行われ、50人もの参加者を収容するリビングの広さに驚きつつ、世界中から集まった研究者と楽しい時間を過ごせました。
次回の学会は、東ヨーロッパのモルドバ共和国の首都キシナウで2021年5月に開かれることに決まりました。
室温超伝導の発見者、ジョージワシントン大学のHemley教授を紹介するセッションの座長の門脇和男筑波大学名誉教授
オーランド郊外にあるKlemm先生の自宅でのバンケット
9月17日から21日までトルコ、イズミルで開催された3rd International Science and Applications of Thin Films, Conference & Exhibition, で特定研究員のAsem Elarabiが
“Polarization Properties of Terahertz Radiation Monolithically
Generated from Bi2Sr2CaCu2O8+δ Mesas. ”
と題して招待講演を行いました。
円盤形状メサデバイスからの円偏光テラヘルツ放射に関する研究成果が、Applied Physics Lettersから出版されました。
Appl. Phys. Lett.
113 , 052601 (2018);
https://doi.org/10.1063/1.5040159
円偏光テラヘルツ波の発振に関する論文がPhys. Rev. Applied誌から12月29日にオンライン公開されました。
A. Elarabi, Y. Yoshioka, M. Tsujimoto, and I. Kakeya
Phys. Rev. Applied 8 , 064034 – Published 29 December 2017
本論文では、高温超伝導体メサ構造から円偏波のテラヘルツ光を放射した成果をまとめています。
特定の方向に偏りのない円偏光は、映画館のRealD と呼ばれる3D映像にも応用されています。
円偏波のテラヘルツ光を移動体間通信に応用することにより、超高密度通信が可能になります。
これまで、円偏波のテラヘルツ光を出すためには、光源を出た電磁波を光学素子を通すことで、円偏光にしていました。本研究では、モノリシック(一枚板)素子から円偏波テラヘルツ光を放射させることに成功し、得られた円偏光度は、既存のモノリシック素子の中で最高の値を示しました。
京都大学のトップページ「研究成果 」にも掲載されています。
1月4日付京大ウェブサイトトップのスクリーンショット。トピックスの先頭に私たちの研究発表が・・・。
12月21日付日刊工業新聞21面に
「京大、安定したデータ通信を可能にする「テラヘルツ光源」開発 」
と題して、本研究室の研究成果が掲載されました。
日刊工業新聞webサイトへのリンク
研究成果発表に関する記者説明
「超高速移動体通信を可能にするテラヘルツ光源の開発― モノリシック高温超伝導デバイスから円偏光電磁波の放射 に成功―」
を京都大学時計台百周年記念館の中にある京都大学記者ク ラブで行いました。
記者説明はパワーポイントを用いた15分の説明の後、各 記者からの質問に答える形で行われました。
論文の公開、京大からの発表は1月4日になります。
(1月7日追記:京大ウェブサイト記事へのリンク )
研究成果は、超伝導体から作った1枚のデバイスから、特定の方向の偏りがない円偏光電磁波を放射させたことです。
円偏光電磁波は、GPSやETCに用いら れていて、この技術を、高密度の情報通信が可能となるように、テラヘルツの周波数領域で実現しました。
既存のテラヘルツ光源が、発振と放射が別々の機構で動いていることと対照的に、超伝導テラヘルツ光源では、発振と放射が一つの形状で決まっていて、そのために自発的に高い円偏光度のテラヘルツ波が放射される点が非常に面白い点です。
記者レクに臨む掛谷(左)とアセム(右)
大阪府立大学で行われたワークショップ
「ナノ構造超伝導体中の渦糸物理 」
において、掛谷とアセムが口頭発表を行いました。
掛谷一弘、野村義樹、岡本陸、足立伸太朗、渡辺孝夫
「Bi2223における固有ジョセフソン特性から見たCuO2多重層内部の不均一超伝導」
Asem Elarabi, Y. Yoshioka, M. Tsujimoto, T. Doi, and I. Kakeya
“Generation of Circularly-Polarized Terahertz Emission form a High-Tc BSCCO Mesa”
茨城県つくば市にある物質材料研究機構(NIMS)で行われた国際会議
International Workshop on Superconductivity and Related Functional Materials 2016 (IWSRFM2016 )
において、掛谷が
“Generation of circularly-polarized terahertz waves from Bi2212 intrinsic Josephson junctions ”
という題目で招待講演を行いました
秋田芸術村温泉ゆぽぽで行われた第24回渦糸物理国内会議 において、掛谷が”Generation of circularly-polarized terahertz waves from Bi2212 intrinsic Josephson junctions “について口頭発表を行いました。
10月10日から12日まで中華人民共和国、南京大学で行われた国際会議、10th International Symposium on Intrinsic Josephson Effects and Plasma Oscillations in High-T c Superconductors (Plasma+ 2016) で招待講演1件(掛谷)、口頭発表1件(野村)、ポスター発表2件(アセム、岡本)を行いました。
学会の会場となった南京大学新キャンパス内のSchool of Electronic Scinece and Engineeringの建物
D2のアセム君は、見事ポスター賞、それも45件中ただ1件のFirst prizeを受賞しました。おめでとうございます。
Asem Elarabi (D2) recieved the best poster award (1st place)
会議の締めくくりのポスター賞授賞式
この学会は、集積機能工学研究室が主催して2014年11月に京都大学百周年時計台記念館で実施したTHz-plasma 2014 に続く学会であり、世界各国から100人余りの参加者が得られました。
南京大学を初めとする中国本土の大学の研究者による招待講演もかなり多く、研究のレベルが速いスピードで向上しているのが肌で感じられました。
さらに、南京大学の学生によるポスター発表も数多く出されており、研究レベルは日本の国内学会における発表に相当するものだと感じました。議論に使った英語のレベルは、苦手そうな人も私がドクターの学生だった頃よりもわかりやすい英語を喋っているような印象でした。日本の学生、頑張れ!
キャンパスが美しいのにまず驚くのですが、研究室を見学させていただき、さらに驚きました。
最新鋭の設備で、居心地の良い空間。これは、何より羨ましい。
中国は、次代を担う若者に投資しています。翻って日本はどうでしょうか??
口頭講演する野村(D3)
岡本(M1)はポスター発表。頑張りました。
バンケットでの集積研メンバー。発表が終わっていない私(掛谷)が一番はしゃいでる?
研究室OBの辻本氏(現筑波大)とドイツ・チュービンゲン大学の大学院生・ポスドク
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京都大学の超伝導デバイスに関する研究室, Research group for superconducting electronics in Kyoto Univ.