記者説明 「超高速移動体通信を可能にするテラヘルツ光源の開発―モノリシック高温超伝導デバイスから円偏光電磁波の放射に成功―」

研究成果発表に関する記者説明
「超高速移動体通信を可能にするテラヘルツ光源の開発―モノリシック高温超伝導デバイスから円偏光電磁波の放射に成功―」
を京都大学時計台百周年記念館の中にある京都大学記者クラブで行いました。

記者説明はパワーポイントを用いた15分の説明の後、各記者からの質問に答える形で行われました。
論文の公開、京大からの発表は1月4日になります。
(1月7日追記:京大ウェブサイト記事へのリンク

研究成果は、超伝導体から作った1枚のデバイスから、特定の方向の偏りがない円偏光電磁波を放射させたことです。
円偏光電磁波は、GPSやETCに用いられていて、この技術を、高密度の情報通信が可能となるように、テラヘルツの周波数領域で実現しました。

既存のテラヘルツ光源が、発振と放射が別々の機構で動いていることと対照的に、超伝導テラヘルツ光源では、発振と放射が一つの形状で決まっていて、そのために自発的に高い円偏光度のテラヘルツ波が放射される点が非常に面白い点です。

 

記者レクに臨む掛谷(左)とアセム(右)

城陽市立深谷小学校に出前授業

京都府城陽市の深谷小学校に出前授業に行ってきました。
6年生36人を相手に楽しい授業です。
超伝導体を使って磁石が浮上するのに驚いたり、硬貨から作る電池でLEDが光るのに目を輝かせたりする子供たちに、私たちも元気をもらいました。

液体窒素を使って、風船をしぼませたり、超伝導体で磁石を浮かせてみたりしてみると、子どもたちは興味津々です。
風船を子供たちに膨らませてもらうところは、本題と違いますが大盛り上がり。

さらに、ひとりひとりが食塩水と硬貨で電池を作って、LEDを点灯させたときは大喜び。
それぞれが作った多数の「電池」を並列や直列につないで、明るさを競い合っていました。
何人かは、家のもので試してみて、おうちの方を困らせているかも・・。
それこそ、科学者の始まりで、それをこれからも伸ばしていっててほしいと思います。

感想文を送ってくださっているとのことで、とても楽しみです。

電気を使うものを挙げてもらっているところです。
3つの区分は何によって分けているでしょうか?
左に立っているのは、手伝ってもらった研究室学生の岡崎君です。
私の前で磁石が浮いているのに注目!
子どもたちに膨らませてもらった風船を液体窒素に冷やしているところです。

ISS2017で口頭発表

12月13日から15日の間、東京都千代田区イイノホールで行われた第30回超伝導国際シンポジウムで掛谷が口頭発表を行いました。

講演題目は、“Generation of Circularly Polarized THz Radiation from Bi2Sr2CaCu2O8+δ Mesa Structures

高温超伝導体のテラヘルツ光源に関する全体的なレビューののち、最近確認された円偏光テラヘルツ波の放射について報告しました。

前半で、昨年5月に出版されたレビュー論文が2016年のハイライトに選ばれたため、現在フリーアクセスとなっているという紹介では、かなり興味を持っていただき、講演後、座長をはじめとする国内外名からの聴講者から様々な質問が来ました。

円偏光放射に関する報告に関しては、発振現象をはじめに実証した論文の責任著者である研究者であるU. Welp博士からの質問があり、セッション終了後に昼食をともにしながら議論を行いました。