毎日、いろんなものを見ていると、ふしぎに思うことがたくさんあります。ふしぎだと思うことには、すなおになって、きょうみを持とう。それが、科学の始まりです。
科学って言っても、構えちゃいけない。家族といると落ち着く、好きな人と一緒にいるとドキドキする、それを何でだろうって考えることでも、科学の入口に立てるのです。
皆さんの中にも、スポーツをしている人もいますよね。わたしは、小学生の時は野球、中学生からはテニスをしていました。野球もテニスも、まずは素振りが大事です。素振りで体の形を固めて、その固めた体の位置のところに来たボールをうまく打ったり、とったりりすることから初めて、次はボールが来たところに体を移動させて、少し離れた場所にきたボールにも対応できるようになっていきます。少しずつ変えていった条件に合わせていくことを繰り返して野球やテニスが上手になっていきます。一度にたくさんのことを変えていくと、上手になれません。
これは、スポーツに限りません。書道を習っている人も多いと思います。書道は繰り返し、例えば1か月の間、同じ字を書きます。習字が好きな子は、余りいないと思います。めんどくさいなあ、と思っている人もいると思います。私もそうでした。でも、同じ字を書くからこそ、1か月の間で上達が分かるのです。
逆に、ゲームが好きな子は多いと思います。ゲームはもっと研究に近いのです。ゲームが面白いところは、次々にクリアしていく目標(敵キャラや目的地)が出てくることです。なかなかクリアできないときは、いろいろ試してみます。武器を身につけたり、近道をしてみたり、時には、友達から聞いた情報を試したりします。
研究はこれと全く同じ活動です。例えるなら、私は「超伝導ウォッチ」というゲームを何年もやり続けていると言えます。妖怪でなく、超伝導体を集めていくだけでなく、経験値を上げていきます。それを使ってさらに強い超伝導体に挑戦して、それを倒して手に入れていくことで、さらに難しい目標が現れます。これをクリアするためには、前の目標をクリアすることで得た経験を使うだけでなく、研究費をもらって、武器を充実させる必要があります。私たちは、これを繰り返して、次々に現れる新しいキャラを退治しているわけです。途中でやられてしまったら、ゲームの初めに戻って、やり直すこともできます。
たった一つ、ゲームと違うところがあります。それは、本当のゴールは誰も知らないと言う事です。ゲームのクリアはゲーム制作者が設定したものですが、研究のゴールは研究者自身が設定するのですが、その本当の姿はそのゴールにたどり着いた瞬間に初めてその研究者だけが知ることになるわけです。