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論文出版:超伝導デバイスからのテラヘルツ波放射同期解析

高温超伝導体Bi2212単結晶から作成されたテラヘルツ放射デバイスについての論文がPhysical Review Applied誌から発表されました。本論文は、現M2の小林亮太、元修士課程院生の巴山顕が中心となって進めた実験の成果を産業技術総合研究所の辻本学博士と共にまとめたものです。

本論文では、放射テラヘルツ波の偏光測定結果について線形代数を用いた解析を行うことにより、同期する二つの素子からの放射電磁波の位相差が周波数に応じて変わっていくことを示しています。本論文で得られた成果をもとに系統的に調査を進めていくことにより、Beyond 5Gに求められる超高速通信のキャリア光源として有用なテラヘルツ電磁波を放射する超伝導デバイスが実現可能になります。

Spontaneous Frequency Shift and Phase Delay of Coupled Terahertz Radiation Mediated by the Josephson Plasmon in a Cuprate Superconductor

Ryota Kobayashi, Ken Hayama, Shuma Fujita, Manabu Tsujimoto, and Itsuhiro Kakeya
Phys. Rev. Applied 17, 054043 – Published 25 May 2022

Phys. Rev. Bから論文の発表

弘前大・東大・東北大との共同研究の成果に関する論文が固体物理の専門誌Phys. Rev. Bに掲載されました。

Origin of positive out-of-plane magnetoconductivity in overdoped Bi1.6Pb0.4Sr2CaCu1.96Fe0.04O8+\delta
Takao Watanabe, Tomohiro Usui, Shintaro Adachi, Yuki Teramoto, Mihaly M. Dobroka, Itsuhiro Kakeya, Akihiro Kondo, Koichi Kindo, and Shojiro Kimura
Phys. Rev. B 94, 174517 – Published 28 November 2016

磁性不純物であるFeをCuに置換して超伝導転移温度を低下させることで、東京大学物性研究所および東北大学金属材料研究所の精密測定可能な磁場で超伝導を破壊することが可能となり、超伝導揺らぎと擬ギャップを分離することに成功しました。

雑誌「固体物理」に解説記事が掲載

アグネ技術センターから発行されている雑誌「固体物理」2016年9月号に筑波大学の辻本(前集積研学振SPD)と掛谷の共著による解説記事「固有ジョセフソン接合からのコヒーレントな連続テラヘルツ波の発生」が掲載されました。

超伝導の専門家でなくても、固体物理の基礎知識があれば理解できるように、執筆しましたので、是非ご高覧下さい。

なお、同号には、東京大学の岡田氏らにより執筆された鉄ヒ素超伝導体における渦糸フローの解説も掲載されています。こちらも注目です。

 

鉛系銅酸化物の90 K級高温超伝導に関する論文が出版

本研究では、これまでに超伝導特性の詳細が明らかにされていなかったPb系銅酸化物が90 K級の高温超伝導を示すことが良質なエピタキシャル薄膜の評価によって明らかになりました。

90K superconductivity of clean Pb1212
epitaxial films

S. Komori, A. Kondo, K. Kindo, and I. Kakeya
Superconductor Science and Technology, 29, 085007 (2016).
DOI:10.1088/0953-2048/29/8/085007

90 KのPb系高温超伝導薄膜に対して原子像の観察をはじめとした結晶性の評価からパルス強磁場中での超伝導特性の変化に至るまで種々の測定を行い、基礎的性質を明らかにするとともに、現在超伝導線材応用がすすめられている90 K級のイットリウム系高温超伝導体との電気特性の比較検討も行いました。

 

楕円偏光テラヘルツ波の発振についての論文が出版

Physics Procedia誌に、高温超伝導体メサ構造から楕円偏光のテラヘルツ波を発振させる提案についての論文が出版されています。

Polarization Enhancement of Terahertz Radiation Generated by Intrinsic Josephson Junctions in a Truncated Edge Square Bi2Sr2CaCu2O8+δ Mesa 

A. Elarabi, ,Y. YoshiokaM. TsujimotoY. NakagawaI. Kakeya

本論文では、正方形の対向する2角を落とした六角形のメサ構造から発振されるテラヘルツ波を円偏光にするデザインについて提案しています。

円偏光の電波は、感度がアンテナの向きに依存しないので、携帯電話や衝突防止レーダーなど遠隔通信に利用されています。

円偏光のテラヘルツ波は、現在の1000倍に及ぶ情報密度の近距離非接触データ転送や、化学物質のキラル異性体(鏡像対称性)の分別への応用が期待されています。

これまで、テラヘルツ波を円偏光にするためには、1/4波長板などの光学素子を用いていましたが、本技術によって、簡便なセットアップで円偏光が発振できるだけでなく、円偏光を維持して周波数をチューニングできることが可能になりました。

 

高温超伝導テラヘルツ光源のレビュー論文が出版

掛谷准教授と物質材料研究機構の王華兵博士の共著による高温超伝導テラヘルツ光源に関するレビュー論文が出版されました。

Terahertz-wave emission from Bi2212 intrinsic Josephson junctions: a review on recent progress

Itsuhiro Kakeya and Huabing Wang

Published 16 May 2016© 2016 IOP Publishing Ltd
Superconductor Science and Technology, Volume 29, Number 7

本論文は、高温超伝導テラヘルツ光源の研究に関するここ数年の進捗(発振強度および発信周波数の上昇)のほか、積層ジョセフソン接合の同期メカニズムと発振特性制御の面から注目されている温度分布に注目して、これまでの研究成果をまとめました。

レビュー論文ですが、オリジナルの図もいくつかあり、とくに、高温超伝導テラヘルツ光源と半導体のテラヘルツ光源の動作範囲をまとめた図や、高温超伝導テラヘルツ光源の発信周波数上限がジョセフソン最大電流の平方根で与えられることを示唆する図はぜひ参考にしていただきたいところです。

Tb-Pvsf

Optics Express誌に論文掲載

本研究室の新しい論文が米国光学会(Optical Society of America)出版局のOptics Express誌に掲載されました。

本研究では高温超伝導体を使った小型テラヘルツ光源における空洞共振効果について、矩形メサ構造の短辺および長辺方向それぞれの横磁場モードの観測に成功しました。この成果により、十分なコンセンサスが得られていなかった従来の議論をようやく結論に導くことができました。モード同定を正確に行うための新しい実験系を構築し、電磁界シミュレータを使った数値解析を取り入れることで測定結果を詳細に解析しました。単一素子で横磁場モードを自在に制御できることは、広帯域発振器の開発や偏波制御素子の実現といった応用につながります。

M. Tsujimoto, I. Kakeya, T. Kashiwagi, H. Minami, and K. Kadowaki
“Cavity mode identification for coherent terahertz emission from high-Tc superconductors”

DOI: http://dx.doi.org/10.1364/OE.24.004591

Supercond. Sci. Technol.誌に論文掲載

本研究室の新しい論文が英国物理学会(IOP)出版局のSuperconductor Science and Technology誌に掲載されました。

私たちは超伝導テラヘルツ光源の材料である高温超伝導体の元素置換効果に着目しています。本論文では、これまで使われてきたビスマス系高温超伝導体のビスマス(Bi)元素の一部を鉛(Pb)で置換した素子を作製し、テラヘルツ分光測定などによって明らかになったPb置換効果について報告しました。Pb置換素子では発振の高周波化が期待できます。また、Pb置換によって大型単結晶の育成が容易となることは工業的に重要です。

超伝導テラヘルツ光源の実現をめざした化学的アプローチは本研究室のオリジナルな研究手法です。今後の成果にもご期待ください。

M. Tsujimoto, Y. Maeda, H. Kambara, A. Elarabi, Y. Yoshioka, Y. Nakagawa, Y. Wen, T. Doi, H. Saito and I. Kakeya
“Terahertz emission from a stack of intrinsic Josephson junctions in Pb-doped Bi2Sr2CaCu2O8+δ

DOI: http://dx.doi.org/10.1088/0953-2048/28/10/105015

(文責 辻本)

J. App. Phys.に論文掲載

Journal of Applied Physics誌上に高温超伝導体からのテラヘルツ発振に関する研究成果を発表しました。

Temperature dependence of terahertz emission by an asymmetric intrinsic Josephson junction device 
J. Appl. Phys. 117, 043914 (2015); http://dx.doi.org/10.1063/1.4906849
高温超伝導テラヘルツ光源において温度やバイアス電流による発振周波数のチューニングのメカニズムを解明しました。構造および発振条件の異なる3種類のデバイスを作成し、それぞれに特徴的な温度依存性を発見しました。超伝導を特徴付ける基礎的な物理量である磁場侵入長の温度依存性によって発振周波数の温度依存性が説明できることが示されました。

J. Phys. Soc. Jpn.に論文掲載

J. Phys. Soc. Jpn.にD1野村君第一著者の論文が掲載されました。

Y. Nomura, T. Mizuno, H. Kambara, Y. Nakagawa, and I. Kakeya
“Enhanced Macroscopic Quantum Tunneling in Capacitively Coupled BiPb2201 Single-Layered Intrinsic Josephson Junctions”

DOI: http://dx.doi.org/10.7566/JPSJ.84.013704

本論文では、高温超伝導体に内在する固有ジョセフソン接合において起きる巨視的量子トンネル現象について、原子スケールの相互作用(電荷結合)の存在を示す実験結果を報告しています。
固有ジョセフソン接合では、超伝導の巨視的量子効果によって巨視的なスケールの相互作用(磁気結合)が明らかになっており、この成果により高温超伝導体を用いた量子ビットやテラヘルツ光源の開発が促進されます。