カテゴリー別アーカイブ: #論文出版

論文出版:ウィスカーBi2212接合からのテラヘルツ波発振

高温超伝導体Bi2212ウィスカー(針状)結晶から作製された固有ジョセフソン接合デバイスからのテラヘルツ発振に関する、物質材料研究機構などとの共同研究論文が、2月11日付けで応用物理学会の速報誌Applied Physics Express  (APEX)誌に掲載されました。共著者に当研究室の修士課程院生である巴山顕、元院生である藤田秀眞も含まれています。

これまでに当研究室などで進めてきたバルク単結晶を基にしたデバイスとは異なり、ウィスカー結晶を用いた場合、その固有の形状から微細加工が不要となったり、アンテナとして機能するため、テラヘルツ光源の機能性を高めることが期待されます。

THz emission from a Bi2Sr2CaCu2O8+δ cross-whisker junction

Yoshito Saito1,2Shintaro Adachi1Ryo Matsumoto3Masanori Nagao4Shuma Fujita5Ken Hayama5Kensei Terashima1Hiroyuki Takeya1Itsuhiro Kakeya5 and Yoshihiko Takano1,2

Published 11 February 2021 • © 2021 The Japan Society of Applied Physics

論文出版:Pb1212の固有ジョセフソン特性

当研究室が初めてエピタキシャル膜の成長に成功した銅酸化物超伝導(Pb,Cu)Sr2(Y,Ca)Cu2O7  (Pb1212)のc軸固有ジョセフソン特性について報告した論文が日本物理学会の学術誌、Journal of Physical Society of Japanに掲載されました。

本論文は、当研究室の小森祥央元博士課程院生(現ケンブリッジ大学研究員)が博士課程在学時に進めた実験を再解析して執筆した成果です。

Interlayer Transport and Josephson Coupling in a 1212-type Cuprate Superconductor with a (Pb,Cu)–O Barrier Layer

Physical Review誌にLetter論文が発表されました

高温超伝導テラヘルツ光源の同期発振現象に関する筑波大学、パリ高等師範学校(ENS)との共同研究の成果がPhysical Review Applied誌のLetterセクションに掲載され、Editors’ Suggestionとして注目論文に採用されました。

Mutually Synchronized Macroscopic Josephson Oscillations Demonstrated by Polarization Analysis of Superconducting Terahertz Emitters

M. Tsujimoto, S. Fujita, G. Kuwano, K. Maeda, A. Elarabi, J. Hawecker, J. Tignon, J. Mangeney, S.S. Dhillon, and I. Kakeya
Phys. Rev. Applied 13, 051001 – Published 13 May 2020

本論文では、高温超伝導体単結晶上に作製したテラヘルツ光源から放射される電磁波の偏光(電磁波の偏り)について、素子構造のひとつから放射される場合とふたつから同時に放射される場合を比較して議論し、二つの素子構造におけるジョセフソン効果による電流振動が位相同期して強度の強い放射を実現していることを明示しています。

本研究の成果により、以下の波及効果が期待されます。

  1. 同期発振現象の解明による高強度テラヘルツ光源の実現
  2. テラヘルツ量子通信光源への応用の可能性

本研究は、当研究室卒業生である藤田秀眞氏の修士論文(2019年2月提出)での実験結果に加え、筑波大辻本グループによる精密測定と解析を得て、辻本博士、掛谷准教授、Dhillion博士 (ENS)で論文を執筆しました。本研究の技術的な肝であるテラヘルツ光学素子の検証がENSグループとの共同研究です。

Physical Review Applied誌のLetterセクションはPhysical Review Lettersと同等の観点で査読されることから狭き門でしたが、幸いにも受理され、さらにはEditors’ Suggestionにも採用されました。今後は本成果を発展させる研究を進めていきます。

筑波大学と京都大学から共同プレスリリースが出されておりますので、そちらもご覧ください。

超伝導体テラヘルツ光源の同期現象を初めて観測 -テラヘルツ量子通信デバイスの創成につながる新発見-

筑波大学プレスリリース
京都大学プレスリリース

IEEE Transactions on Electron Devicesに論文が掲載されました。

後藤准教授が筆頭著者の真空電子デバイスに関する論文がIEEEの雑誌、IEEE Transactions on Electron Devicesに掲載されました。

Y. Gotoh et al., “Development of a Field Emission Image Sensor
Tolerant to Gamma-Ray Irradiation”,
IEEE Transactions on Electron Devices Volume 67, Issue 4,
pp. 1660-1665 (2020).
https://doi.org/10.1109/TED.2020.2977674

希土類酸化物薄膜の磁性と電気伝導に関する論文が出版

京都大学工学研究科材料化学専攻の田中勝久研究室との共同研究で、希土類酸化物LuFe2O4薄膜に関する論文が英国Royal Society of Chemistryが発行する雑誌CrysEngCommに発表されました。

この中で、当研究室は電気抵抗測定を担当し、電気伝導メカニズムの解明に貢献しました。

Magnetic and electrical properties of LuFe2O4 epitaxial thin films with a self-assembled interface structure

Abstract

LuFe2O4 has been the most extensively studied among a series of RFe2O4 (R = Sc, Y, In and Dy to Lu) compounds, which possess both dielectric and magnetic orderings originating in equal numbers of Fe2+ and Fe3+ ions in a triangular lattice. We have prepared LuFe2O4 thin films epitaxially grown on a (111)-oriented YSZ (yttria-stabilized zirconia) substrate via a pulsed laser deposition method and found that the resultant thin film comprises a curious self-assembled interface structure. Our structural analysis at an atomic level by using high-angle annular dark-field scanning transmission electron microscopy and energy dispersive X-ray spectrometry reveals that very thin layers of LuFe2O4 lacking Fe–O layers, corresponding to the hexagonal LuFeO3 and Lu2Fe3O7 compositions, are formed at the interface between the c-axis oriented LuFe2O4 thin film and YSZ substrate with a Lu-rich region just on the surface of the substrate. Such an interfacial structure leads to an exchange bias effect peculiarly observed for an interface formed by different types of magnetic materials. The LuFe2O4 thin film itself shows spin glass transition similar to bulk LuFe2O4 with an off-stoichiometric oxygen ratio. Also, a change in electronic transport behavior between Arrhenius-type and variable range hopping schemes has been observed in the temperature dependence of electrical resistivity around the three-dimensional charge ordering temperature.

三層系ビスマス高温超伝導体特有の現象をPhysical Review Bに発表

アメリカ物理学会誌Physical ReviewBに、超伝導転移温度が最も高い構造である三層系銅酸化物高温超伝導体特有の現象に関する弘前大学、物質材料研究機構との共同研究の成果を発表しました。

Role of the inner copper oxide plane in interlayer Josephson effects in multilayered cuprate superconductors

Yoshiki Nomura, Riku Okamoto, Taka-aki Mizuno, Shintaro Adachi, Takao Watanabe, Minoru Suzuki, and Itsuhiro Kakeya
Phys. Rev. B 100, 144515 – Published 28 October 2019

 

著者らは銅酸化物高温超伝導体のうち三層系物質に特有の伝導現象を初めて報告した。主な高温超伝導体には、銅と酸素の原子面が1枚、2枚、3枚重なっている一層系、二層系、三層系の物質があり、超伝導転移温度は原子面の数が増えるにしたがって増加することが知られている。これまでの研究では、3種の構造を持つ物質の間で、量的な違いは見られるものの、質的な違いを示すような特有の現象については報告されていなかった。著者らは、三層系銅酸化物単結晶の表面に微小構造を作製して、結晶構造の積層方向の電流電圧特性を測定することで、三枚の銅―酸素原子面のうち、真ん中の銅―酸素原子面が超伝導特性にもたらす特有の役割を指摘した。

発見した現象は、結合する複数の振り子のふるまいで例えることができる。ジョセフソン接合と呼ばれる1対の銅―酸素原子面からなる構造を一つの振り子とすると、超伝導体単結晶は多数の振り子がつながっている状態と考えられる。二層系では、隣接する振り子が強く結合しているが、三層系では結合せず独立に振動していおり、その違いを著者らは見出した。

円偏光テラヘルツ放射に関する研究成果がApplied Physics Lettersで論文出版

Appl. Phys. Lett. 113, 052601 (2018); https://doi.org/10.1063/1.5040159

宇宙飛行中の「眼」の異常に関する論文を出版

米国医師会発行のJAMA Ophtalmology誌(インパクトファクター6.7)に宇宙飛行中の視神経などの異常に関する論文が掲載され、京都大学からプレスリリースを行いました。

Research Letter

Association of Space Flight With Problems of the Brain and Eyes

Abstract Full Text
JAMA Ophthalmol. Published online July 5, 2018. doi:10.1001/jamaophthalmol.2018.2635

This study explores the association of cerebrospinal fluid pressure and brain upward shift with space flight–associated neuroocular syndrome in postflight astronauts.

京都大学プレスリリース「宇宙飛行による眼病発症のメカニズムを解明しました」

集積研で中心となっている研究テーマとはあまり関係ありませんが、視神経および脳の構造を熟知した研究者と物理学のモデル化手法が融合して初めて得られた成果です。

【論文】電気二重層トランジスタによりキャリアドープに成功

イオン液体を用いた電気二重層トランジスタ構造を用いて、ペロブスカイト型超伝導体BiPbBaO3に電場によりキャリアを誘起させることに成功しました。キャリアの増加により、もともとオーバードープだった表面がよりオーバードープになり、超伝導転移温度は減少する結果になりましたが、電気二重層トランジスタによるキャリアドープが酸化物超伝導体について実現されたのは世界で初めてであり、最適な条件で実験を行うことにより、酸化物高温超伝導体が実現する最高の転移温度を実証する可能性が出てきました。

著者:小森祥央(現ケンブリッジ大学ポスドク研究員)、掛谷一弘

Carrier doping into a superconducting BaPb0.7Bi0.3O3−δepitaxial film using an electric double-layer transistor structure

S Komori1 and I Kakeya

Published 27 April 2018 • © 2018 IOP Publishing Ltd

Superconductor Science and TechnologyVolume 31Number 6

Abstract

Doping evolution of the unconventional superconducting properties in BaBiO3-based compounds has yet to be clarified in detail due to the significant change of the oxygen concentration accompanied by the chemical substitution. We suggest that the carrier concentration of an unconventional superconductor, BaPb0.7Bi0.3O3−δ , is controllable without inducing chemical or structural changes using an electric double-layer transistor structure. The critical temperature is found to decrease systematically with increasing carrier concentration.

Phys. Rev. Applied誌に論文発表

円偏光テラヘルツ波の発振に関する論文がPhys. Rev. Applied誌から12月29日にオンライン公開されました。

Monolithic Superconducting Emitter of Tunable Circularly Polarized Terahertz Radiation

A. Elarabi, Y. Yoshioka, M. Tsujimoto, and I. Kakeya
Phys. Rev. Applied 8, 064034 – Published 29 December 2017

本論文では、高温超伝導体メサ構造から円偏波のテラヘルツ光を放射した成果をまとめています。

特定の方向に偏りのない円偏光は、映画館のRealDと呼ばれる3D映像にも応用されています。

円偏波のテラヘルツ光を移動体間通信に応用することにより、超高密度通信が可能になります。

これまで、円偏波のテラヘルツ光を出すためには、光源を出た電磁波を光学素子を通すことで、円偏光にしていました。本研究では、モノリシック(一枚板)素子から円偏波テラヘルツ光を放射させることに成功し、得られた円偏光度は、既存のモノリシック素子の中で最高の値を示しました。

京都大学のトップページ「研究成果」にも掲載されています。

1月4日付京大ウェブサイトトップのスクリーンショット。トピックスの先頭に私たちの研究発表が・・・。