カテゴリー別アーカイブ: 研究成果

三層系ビスマス高温超伝導体特有の現象をPhysical Review Bに発表

アメリカ物理学会誌Physical ReviewBに、超伝導転移温度が最も高い構造である三層系銅酸化物高温超伝導体特有の現象に関する弘前大学、物質材料研究機構との共同研究の成果を発表しました。

Role of the inner copper oxide plane in interlayer Josephson effects in multilayered cuprate superconductors

Yoshiki Nomura, Riku Okamoto, Taka-aki Mizuno, Shintaro Adachi, Takao Watanabe, Minoru Suzuki, and Itsuhiro Kakeya
Phys. Rev. B 100, 144515 – Published 28 October 2019

 

著者らは銅酸化物高温超伝導体のうち三層系物質に特有の伝導現象を初めて報告した。主な高温超伝導体には、銅と酸素の原子面が1枚、2枚、3枚重なっている一層系、二層系、三層系の物質があり、超伝導転移温度は原子面の数が増えるにしたがって増加することが知られている。これまでの研究では、3種の構造を持つ物質の間で、量的な違いは見られるものの、質的な違いを示すような特有の現象については報告されていなかった。著者らは、三層系銅酸化物単結晶の表面に微小構造を作製して、結晶構造の積層方向の電流電圧特性を測定することで、三枚の銅―酸素原子面のうち、真ん中の銅―酸素原子面が超伝導特性にもたらす特有の役割を指摘した。

発見した現象は、結合する複数の振り子のふるまいで例えることができる。ジョセフソン接合と呼ばれる1対の銅―酸素原子面からなる構造を一つの振り子とすると、超伝導体単結晶は多数の振り子がつながっている状態と考えられる。二層系では、隣接する振り子が強く結合しているが、三層系では結合せず独立に振動していおり、その違いを著者らは見出した。

応用物理学会(北海道大学)で2件の発表

9月18日から21日まで北海道大学で行われた応用物理学会において、前田と掛谷が2件の口頭発表を行いました。

北海道大学博物館
クラーク像

国際会議IRMMW-2019に2名出席

9月1日から6日までフランス・パリで行われたテラヘルツ技術に関する国際会議IRMMW-THZ 2019に前田、掛谷の2名が出席し、それぞれポスター発表、口頭発表を行いました。

掛谷の口頭講演
ポスターセッションで前田が発表中
IRMMW-THz 2019授賞セレモニー。舞台上右側は本研究室共同研究者のJerome Tignon (ENS-Paris)。
バンケットのセーヌ川クルーズの席から見えた自由の女神とエッフェル塔
2018年ノーベル物理学賞のGerard Mourou 博士の講演。

日本学術振興会146委員会で掛谷が講演

東京・四谷の弘済会館で開かれた日本学術振興会超伝導エレクトロニクス第146委員会第96回総会で掛谷が「高温超伝導体からのジョセフソンプラズマ放射の物理と多機能テラヘルツ光源の開発」という題目で招待講演を行いました。

146委員会は、学界と産業界の融合を進める委員会で、講演後の質疑応答では、産業界の研究者とも意見交換を進めました。

 

Plasma2019で招待講演

2019年1月18日から21日までアメリカ・フロリダ州のセントラルフロリダ大で行われたPlasma2019 workshopで、掛谷が招待講演を行いました。

講演題目は”Circularly polarized terahertz-wave emission from monolithic Bi2212 devices“、高温超伝導デバイスから放射されるテラヘルツ電磁波を円偏光に制御する方法とそこからデバイス表面における電流分布の議論について報告いたしました。講演後、多くの参加者から質問があり、とくにホットスポットと偏光の関係についての議論が盛り上がりました。

また、学会では最近発見された超高圧下の室温超伝導のセッションがあり、多様な興味深い議論が繰り広げられました。

バンケットは主催者のRichard Klemm先生の自宅で行われ、50人もの参加者を収容するリビングの広さに驚きつつ、世界中から集まった研究者と楽しい時間を過ごせました。

次回の学会は、東ヨーロッパのモルドバ共和国の首都キシナウで2021年5月に開かれることに決まりました。

室温超伝導の発見者、ジョージワシントン大学のHemley教授を紹介するセッションの座長の門脇和男筑波大学名誉教授
オーランド郊外にあるKlemm先生の自宅でのバンケット

宇宙飛行中の「眼」の異常に関する論文を出版

米国医師会発行のJAMA Ophtalmology誌(インパクトファクター6.7)に宇宙飛行中の視神経などの異常に関する論文が掲載され、京都大学からプレスリリースを行いました。

Research Letter

Association of Space Flight With Problems of the Brain and Eyes

Abstract Full Text
JAMA Ophthalmol. Published online July 5, 2018. doi:10.1001/jamaophthalmol.2018.2635

This study explores the association of cerebrospinal fluid pressure and brain upward shift with space flight–associated neuroocular syndrome in postflight astronauts.

京都大学プレスリリース「宇宙飛行による眼病発症のメカニズムを解明しました」

集積研で中心となっている研究テーマとはあまり関係ありませんが、視神経および脳の構造を熟知した研究者と物理学のモデル化手法が融合して初めて得られた成果です。

記者説明 「超高速移動体通信を可能にするテラヘルツ光源の開発―モノリシック高温超伝導デバイスから円偏光電磁波の放射に成功―」

研究成果発表に関する記者説明
「超高速移動体通信を可能にするテラヘルツ光源の開発―モノリシック高温超伝導デバイスから円偏光電磁波の放射に成功―」
を京都大学時計台百周年記念館の中にある京都大学記者クラブで行いました。

記者説明はパワーポイントを用いた15分の説明の後、各記者からの質問に答える形で行われました。
論文の公開、京大からの発表は1月4日になります。
(1月7日追記:京大ウェブサイト記事へのリンク

研究成果は、超伝導体から作った1枚のデバイスから、特定の方向の偏りがない円偏光電磁波を放射させたことです。
円偏光電磁波は、GPSやETCに用いられていて、この技術を、高密度の情報通信が可能となるように、テラヘルツの周波数領域で実現しました。

既存のテラヘルツ光源が、発振と放射が別々の機構で動いていることと対照的に、超伝導テラヘルツ光源では、発振と放射が一つの形状で決まっていて、そのために自発的に高い円偏光度のテラヘルツ波が放射される点が非常に面白い点です。

 

記者レクに臨む掛谷(左)とアセム(右)

物理学会(岩手大学)で2件の発表

9月21日から24日まで岩手大学で行われた日本物理学会2017年秋季大会で、2件の口頭発表を行いました。

23aA29-3 2197
PbSr2Y1-xCaxCu2O7+δの固有ジョセフソン特性から提案される銅酸化物超伝導体におけるc軸伝導の普遍的記述
小森祥央, 鵜沢旭, 掛谷一弘
京大院工
領域6
23pC10-2 2129
Bi2Sr2Ca2Cu3O10+δにおける固有ジョセフソン効果に観測される多重CuO2層の役割
野村義樹A, 岡本陸A, 足立伸太郎B, 渡辺孝夫B掛谷一弘A
京大院工A, 弘前大院理工B
領域8