「研究交流」カテゴリーアーカイブ

モスクワのロシア科学アカデミーを訪問

チェルノゴロフカでのアブリコソフ記念シンポジウムの後、モスクワ中心部、赤の広場すぐ横にあるロシア科学アカデミー
Kotelnikov Institute of Radioengineering(コテルニコフ高周波工学研究所)
のValery Koshelets教授を訪問しました。

Koshelets教授は超伝導ミキサーを用いたマイクロ波技術で世界を長年リードしており、15年来訪問したいと考えていた研究室でした。

研究室は、なんとモスクワ中心部赤の広場のすぐ横。日本だと、皇居の真横に研究室がある感じです。サッカーワールドカップの観戦客で混雑する赤の広場を抜けて、世界チェーンの高級ホテルの横の路地を入っていったところにある赤いレンガ造りの建物が目的の研究所です。

入り口から入ってKoshelets先生に電話をして歓迎を受けます。研究室でお茶をいただきながら、雑談、そして最近の研究の進展を教えていただく。

そしてラボツアー、この建物は19世紀にモスクワ州立大学として建設され、モスクワ州立大学が郊外に移転したのち、ロシア科学アカデミーが使用しているとのこと。旧ソ連時代を思い出させる共産主義のプロパガンダポスターや第二次大戦の英雄を並べた掲示などもあり、貴重な経験。なんと、壁の厚さは1メートル。重厚な階段に無理やりエレベータが設置してあります。さらに、19世紀の建物の中に、クリーンルームがありスパッタ装置を拝見。
次に、高周波の測定部屋。見慣れたボロメーターのクライオスタットが多数あります。今後の共同研究について議論を交わし、研究所を後にしました。

Max-Planck Institute for Solid State Physicsでセミナー講演

9月13日、Stuttgart郊外にある、Max-Planck Institute for Solid State Physicsを訪問しました。固体物理の研究者ならば、一度は聞いたことのある研究所です。
こちらに所属する共同研究者、Alexander Boris博士の計らいで、セミナー講演をさせていただくことに。私にしては珍しく、かなりの緊張。

講演タイトルは
”Evolution of collective inter-layer intrinsic Josephson phenomena in three BSCCO superconductors”
多くの方にご出席いただき、活発な議論ができました。

研究所内は、圧巻の一言。ドイツという国がどれだけ基礎研究に資金を投じているかがよくわかります。フランスは人的資源に投資をしていますが、ドイツはそれに加えて、実験設備も素晴らしい。EUをけん引している現在の経済状況はここを源とするのでしょうか?

研究所エントランスホールにある、「量子ホール効果の発見」でノーベル賞を受賞したvon Klitzingが使った試料育成装置と試料のイメージ
エレベーター横に貼り出されていた。掛谷のセミナー告知。
Boris博士の研究室のPhD学生のDanielと彼が使っているTHz-TDS装置

 

ドイツ・ハンブルグのDESYでセミナー講演

ドイツ北部、ハンブルグ郊外にあるDeutsches Elektronen-Synchrotron (DESY)を掛谷が訪問し、
Phase dynamics of stacked intrinsic Josephson junctions in Bi2Sr2Can-1CunO2n+4: role of the CuO2 planes composing superconducting layers“というタイトルでセミナー講演を行いました。数多くの質問をいただき、活発な議論が交わされました。

DESYでは、ハンブルグ大に所属する理論研究者とMax-Planck Instituteに所属する実験研究者が高温超伝導体における非線形・非平衡応答の研究を進めており、私たちの研究室との情報交換のための交流が実現しました。

ホストは、ポスドク研究員のJunichi Okamotoさんで、実は学部が京大出身で、私たちの研究室の卒業生と某部活で同じだったとか。狭い世界です。

当地では、2日研究室に滞在し、岡本さん、Ludwig Mathey教授と議論し、実験家のAndrea Cavalleri教授とも議論し、最新鋭の時間領域分光の実験装置を見学しました。

大学近くのレストランでランチ。左からCavalleri, Mathey, Okamoto, 掛谷