電磁単位系について

先日、ある学生と磁化(M-H)カーブの議論をしていたときに、emuで保存されている某社磁気測定装置のデータをどの様にして磁性イオンあたりのボーア磁子数(μB)に変換するのか、という疑問が出ました。

私は磁性畑出身なので、当たり前のように
M[emu]/w [g] * Formula weight [g/mol] / Avogadro Number [molecules/mol]
により求めた分子あたりの磁化[emu/molecule]に分子あたりの磁性イオン数を掛けてボーア磁子で割ると、μB/ion単位で求まる、と答えましたが、その学生はμBをemuで表していることに納得がいかない模様。

テキストを開いてみると、確かにμBはcgs単位系で9.27*10-21 erg/Gaussと書かれています。そこで、erg/Gaussとemuが等価である説明を試みましたが、うまくいきません。

結局、色々考えて以下の説明を導きました。

  • ここで言う1 emuとは1 cm離れた単位磁荷対からなる磁気モーメントの強さ。
  • 単位磁荷とは、μ0= 1として真空中でr = 1 cmの距離にある等しい磁極g間の力がf = 1 dynであるとき、この磁極gの強さのこと。

磁気的なクーロンの法則からf = μ0 g2/r2であるので、gの電磁単位は[cm √dyn]、これに距離を掛けると電磁単位は[cm2√dyn]となり、ボーア磁子の単位[erg/Gauss]=[dyn cm/(√dyn/cm)] と一致してめでたしめでたし。

以上の議論について誤りに気付かれた方はメール下さい。